9.03.2009

強く、痛く、美しく。

わたしが初めてフリーダ・カーロという名前を知ったのは、
4年前。
訪れたこともないメキシコについて物語を書くことになり、
歴史やカルチャーなどを調べていて出逢ってしまった。
その強烈なまでの力に惹き付けられてしまった。
彼女が描いた絵を見ると、魔法にかかるように仕組まれているような、
そんなものすごい力。

1907年メキシコシティに生まれたフリーダ。
幼い時病気を患い右足が不自由になり、
18歳の時ボーイフレンドと乗っていたバスが事故をおこし、
瀕死の事故を負う。
子供の産めない身体になり、若さ溢れる時期にベッドの上で過ごす日々。
天井に鏡があり、そこに映る自分の姿を、キャンバスへと生き返らせてきた。
そして、メキシコが誇る壁画家ディエゴ・リベラと出逢い、
背中を押されて絵を描く道を選ぶ。

フリーダの絵は、ほとんどが自画像だ。
その描写は、すさまじい。
リベラとの子供を流産させてしまったときには、血に染まったベッドを。
自分の身体に矢が突き刺さる絵、荒野で晒す継ぎ接ぎだらけの上半身、
NYのビルから落ちて血にまみれた無表情な顔。
どれも毒々しくて、生々しい。
それでも、目を背けられない強さがある。
痛々しいまでの強い想い、そして深い生命力。

世田谷美術館で開催していた『メキシコ20世紀絵画展』では
フリーダの絵が入り口付近に悠然と飾られていた。
やっぱり強烈なまでに存在感を放っていた。
眩しすぎて、あまり近づくことができなかった。
MOMAでばったりフリーダの絵に出逢ってしまったときのような
衝撃はなかったけれど、
それでも彼女が放つ美しい存在力に触れることができて満たされた。
あんな強さを、身につけることができるのだろうか。
凛とした芯の強さと、最期まで女であり続けた生き方には、
やはり無条件に心惹かれる。




メキシコの大地へ訪れて、現地のアーティストの
雑貨を輸入し扱っている、
LABRAVA』より。
アギラール・ファミリーの陶人形。