8.20.2009

ローカル文化を守るために



今から約3年前に初めて訪れたhawaii。
ハワイ島での滞在は、わたしの人生観をガラリと変えた。
夏が苦手だったわたしのことを、hawaiiは大きく包み込んで迎えてくれた。
外から来たわたしのような人間を、
しかも初めはhawaiiへの愛など感じてなかったのに、
無条件にhawaiiはわたしに好意を寄せてくれた。
ハワイアンには与える精神がある。
それはアロハ・スピリットでもあるわけだが、
hawaiiは歴史を通じても与え続けてきている。

公開中の映画『BUSTIN' DOWN THE DOOR』は、
70's半ばにオーストラリアと南アから、ノースショアへやって来た、
サーフィン革命児たちのドキュメンタリー映画。
まだサーフィンがビジネスになる概念などない頃、
ロコサーファーが気楽にサーフィンを楽しんでいた頃、
「サーフィンをしたい。サーフィンで1番になりたい」との想いで
6人の若者がそれぞれにhawaiiに集った。
始め外国人たちは地元の大会に招待もされなかったが、彼らの実力は格別。
そのうち、ロコやメディアに認められ、オージーサーファーは賞を総なめにする。
そのうち彼らは「サーフィンで一生食べていきたい」と夢を抱き、
メディアを使って名前を売るようになる。
しかし、彼らのうちの一人が、オーストラリアのサーフィン雑誌で
『Bustin Down the Door』(ドアをブチ破れ!)という連載を始める。
そもそもhawaiiのドアをノックせずにズカズカとサーフィンだけで
乗り込んできた彼ら。
ついには「アロハは死んだ」なんて書いたものだから、
平穏温厚なハワイアンは怒り、暴力という手段に出た。
hawaiiが歩んできた強奪・略奪の歴史の繰り返しだとロコたちは思っただろう。
そしてなにより、ローカル文化を守りたい一心だったに違いない。
良いモノはみんなでシェアする。
それが、hawaii文化でありアロハ・スピリット。
結果、彼らはロコたちのスピリットを理解し和解した。
そして、今のサーファービジネスの基盤を作ってきた。

ローカル文化を守ること。
それは時には穏やかにいかないことだってある。
hawaiiに行って人生観を変えられたわたしは、今、海の近くに住んでいる。
ここのローカル文化も、かなり根強い。
わたしは本当に運が良く、今の地域の人たちと
仲良くさせてもらっている。
その人たちのほとんどは、損得勘定などなくて、
嘘をつくことができなくて、いつも自分と自分の大切なモノや人を
守る為に日々を楽しく思いっきり生きている感じ。
そのために、何年もかけていろいろと闘ってきたのは
少し深い話をすればすぐに分かる。
いろいろと経験し、勝ち得て守り抜いてきたここのローカル文化。
でも、そこにわたしのような外からの人間が来ても
「ようこそ」と言って手を差し伸べてくれる。
もちろん、わたしがこの場所を愛していることを
分かってくれたからだろうが。

hawaiiも日本の海辺街も、甘いだけじゃない。
そこに流れるスピリットが真っ直ぐでピュアであるかどうか。
そんなスピリットが、ローカル文化を受け継ぎ守っていくのだろう。