8.17.2009

ファッションのいみ

わたしは、デザイナーズブランドにあまり興味がない。
特に、ラグジュアリーブランドにはまったく疎い。
名前を聞けば、なんとなく分かる…程度。
キレイなお洋服なのは想像できるけれど、自分の実生活で着るには
程遠いものだし縁がないなと思っていた。というか、思っている。

でも、デザイナーという職業に敬意は持っている。
それは数年前に『ヴィジョナリーズ』という本に出逢ってから。
スザンナ・フランケルというジャーナリストによる、過去10年間の
ファッションジャーナリズム寄稿をまとめたもの。
ヴィヴィアン・ウエストウッド、ドルチェ&ガッバーナ、ヴァレンティノ、
マノロ・ブラニク、イッセイ・ミヤケ、川久保玲など、
23人のトップデザイナーが登場する。

伝統格式の高いイギリスにおいて異端児とされるデザイナーの心境、
女性を美しく輝かせる服が創れるのは女性への敬意と愛があるから、
体型の変化が激しい女性のライフスタイルに寄り添う服を創ること、
常に正しい選択をするためにも自分ではなく着る人を第一に考えること…

この本には、23人による23の哲学がある。
ファッション業界にいない人にとっても、ファッションに何の興味がなくても
彼らの哲学にはどの分野においても共通することがあるし、
教えられることが多い。

人がファッションを纏うとき、何に赴きを置くかはその人それぞれだろう。
わたしは、ファッションとは人の性格の一部だと思っている。
その人そのもの、またはその人の一部を表すもの。
自分を表現する最高の術だと思う。
流行の服や名前だけに惹かれて買った服を纏うだけでは、
やっぱり魅力に欠ける。

この本の中で、当時グッチのクリエイティブ・ディレクターだった
トム・フォードの言葉は、妙に納得させられた。
「人間、リラックスしていないと絶対セクシーになれない。
セクシーな人たちはたいてい、自分自身に対しても
とても心地よく感じている場合が多い。他の人たちが自信をなくしたり
自分を見失っている間もね」

トムの言葉は、ファッションの本質を突いているような気がする。
誰だって、自分の中にある女らしさ(男らしさ)を輝かせたい、
自分のためにも魅力的でありたい、と思うはずだ。
それには、解放してリラックスすることは大切。
その心の状態で選んだファッションには、
ちゃんと自分が映えるはずだから。

と思って毎日服を選んでいるわけだが、
リラックスしすぎなのか、世間離れしすぎなのか、
"小学生の夏休み"というテーマを仕事仲間に命名される今日この頃。
まぁ、夏ですから…




表紙のデザインもスタイリッシュ。


『ヴィジョナリーズ』
ブルースインターアクションズ刊