ジャクソン5は聴いていたけど、
マイケルの曲をきちんと聴いたことはなかったと思う。
でも、彼の存在感というか、人柄に惹かれるところがあった。
尋常じゃない優しさを、感じていた。
それがどういうことで、何なのか、
「THIS IS IT」を観て、ハッキリと分かった。
終演前日の午後。超満員のヒルズの映画館。
今年開催されるはずだった、ライブのリハ映像を編集した本作。
オープニングは、若きステージダンサーたちのコメントからだった。
リハに備える彼らは、ライブへの意気込みを語るとき、
目に涙を浮かべて「マイケルと同じ舞台に立てるなんて夢のようだ」と言う。
明らかにダンスに、マイケルに救われて生きてきたような人もいた。
その表情は、みーんな心からの幸せで満ちていた。
自分よりもスゴい存在に触れてしまった人特有の、
謙遜さと本当の愛情を知った解放感がオーラとして放たれていた。
わたしは、オープニングから涙が止まらなかった(本人まだ未登場)。
不安も妬みも恐怖もなくて、そこにあるのは優しさと愛情だけ。
ダンサーたちは、これから先どんなことがあっても、
一生輝いて生きていけるはず。
それだけの力を、あの期間でマイケルからもらえたと思う。
リハのステージに立つマイケルは、パフォーマーの神様が降りているとしか
思えないような感じだった。
正直、心ここに在らず的に感じたが、それはあのライブが
マイケルのためではなく、スタッフのため、ファンのため=世界のため…
という目的だと、本人は認識していたのではないだろうか。
個人的にグッときたエピソードを。
ジャクソン5のナンバーを歌おうとしたマイケル。
イヤホンからのバンド音の返しが強くて、
マイケルは歌うことができなくてイヤホンを外した。
そしてスタッフにマイクで言った。
「僕はイヤホンに慣れていないんだ。
自然の音を聴くように育てられてきたから。
でも慣れるようにしているよ。怒ってるんじゃないよ。
"愛"だからね」
with LOVE.
もう、これがすべての答えという感じ。
いつも穏やかな声と話し方と言葉を放つマイケル。
その存在は、確かな愛のヒト。