人にはそれぞれ縁のある言葉があると思う。
縁のある数字があるのと同じように。
わたしにとって縁のある言葉、それが
「VIVA LA VIDA」。
COLDPLAYが2008年6月にリリースした『VIVA LA VIDA』。
はじめは何気なく聴いていた程度だったが、
何度聴いても飽きないこと、そして曲に漂う崇高な印象に惹かれていった。
ただその程度止まりで、歌っている内容に関して、
このときは特に注目はしていなかった。
先日、代官山のレコード屋に行ったときのこと。
CDや本を探すとき、毎回「今のわたしに必要なものに出逢いたいです」と
心にお願いをするのだが、このときもそうだった。
お願いをした途端、スタッフがBGMを変えた。
それが、「VIVA LA VIDA」のDJ Omkt Remixだった。
原曲でも印象的だったベルの音とストリングス、ティンパニーのリズムが
ハウスリミックスの手に掛かり、
天井の高い店内に響き渡った。
わたしの意識は、すべてこの曲に持っていかれてしまった。
それ以来、毎日毎日、何度も何度も聴いている。
なんて、神聖な曲なんだろう。
不思議なもので、コーラスは天使の声にしか聴こえなくなってくるし、
鐘の音は天国で鳴っているように思えてくる。
ここまできてやっと、歌詞に注目した。
すると、とんでもないことを歌っていた。
I used to rule the world.
(かつて私は 世界を支配した)
こんな一文で始まる。
かつて国を支配し、その後崩れていった王様が味わったであろう心情。
民衆や革命家が待ちわびるのは、自分の首。
そうだ、誰が王になんてなりたいのだろう…。
フランス革命のことを歌っているのだろうか?
それとも、聖書の記述に出てくる時代のことなのだろうか?
曲を書いたクリスは、具体的なことは何も語っていない。
でも、わたしの勝手な解釈では、
自分たち(COLDPLAY)の存在と重ねているのではと思う。
全世界の頂点に立ったCOLDPLAY。
でもそこの世界は、とてつもなく孤独な世界なのだろう。
それは、誰もなかなか共感することのできない世界。
人々から必要以上に注目され中傷され、
それでいて自分の道を切り開かなくてはいけない世界。
なんの分野でも、それが仕事でなくても、
人の上に存在するということは、とても孤独なこと。
それでも、COLDPLAYは、この曲をこう呼んだ。
「VIVA LA VIDA」と。
訳して、「生命万歳/美しき人生」。
かつてわたしが惹かれた、メキシコの画家フリーダ・カーロ。
彼女が瀕死の状態で最期に描いた絵のタイトルも、
「VIVA LA VIDA」だった。
繋がった気がする。
このハウスリミックスは、原曲の崇高さを最大限にまで引き延ばしている。
だから、この曲で踊ると、本当に天国にいる気分になる。
心と身体中が、慈愛で満たされる。
クリスもDJ Omktも、この曲を手掛けているとき、
きっと降りてきてしまったんだろうなぁ。
『KEEEEP KIDS DANCIN' EDITION3』