11.17.2009

VIVA LA VIDA

人にはそれぞれ縁のある言葉があると思う。
縁のある数字があるのと同じように。
わたしにとって縁のある言葉、それが
「VIVA LA VIDA」。

COLDPLAYが2008年6月にリリースした『VIVA LA VIDA』。
はじめは何気なく聴いていた程度だったが、
何度聴いても飽きないこと、そして曲に漂う崇高な印象に惹かれていった。
ただその程度止まりで、歌っている内容に関して、
このときは特に注目はしていなかった。

先日、代官山のレコード屋に行ったときのこと。
CDや本を探すとき、毎回「今のわたしに必要なものに出逢いたいです」と
心にお願いをするのだが、このときもそうだった。
お願いをした途端、スタッフがBGMを変えた。
それが、「VIVA LA VIDA」のDJ Omkt Remixだった。
原曲でも印象的だったベルの音とストリングス、ティンパニーのリズムが
ハウスリミックスの手に掛かり、
天井の高い店内に響き渡った。
わたしの意識は、すべてこの曲に持っていかれてしまった。
それ以来、毎日毎日、何度も何度も聴いている。

なんて、神聖な曲なんだろう。
不思議なもので、コーラスは天使の声にしか聴こえなくなってくるし、
鐘の音は天国で鳴っているように思えてくる。

ここまできてやっと、歌詞に注目した。
すると、とんでもないことを歌っていた。

I used to rule the world.
(かつて私は 世界を支配した)
こんな一文で始まる。
かつて国を支配し、その後崩れていった王様が味わったであろう心情。
民衆や革命家が待ちわびるのは、自分の首。
そうだ、誰が王になんてなりたいのだろう…。

フランス革命のことを歌っているのだろうか?
それとも、聖書の記述に出てくる時代のことなのだろうか?
曲を書いたクリスは、具体的なことは何も語っていない。
でも、わたしの勝手な解釈では、
自分たち(COLDPLAY)の存在と重ねているのではと思う。

全世界の頂点に立ったCOLDPLAY。
でもそこの世界は、とてつもなく孤独な世界なのだろう。
それは、誰もなかなか共感することのできない世界。
人々から必要以上に注目され中傷され、
それでいて自分の道を切り開かなくてはいけない世界。

なんの分野でも、それが仕事でなくても、
人の上に存在するということは、とても孤独なこと。
それでも、COLDPLAYは、この曲をこう呼んだ。
「VIVA LA VIDA」と。
訳して、「生命万歳/美しき人生」。

かつてわたしが惹かれた、メキシコの画家フリーダ・カーロ。
彼女が瀕死の状態で最期に描いた絵のタイトルも、
「VIVA LA VIDA」だった。

繋がった気がする。

このハウスリミックスは、原曲の崇高さを最大限にまで引き延ばしている。
だから、この曲で踊ると、本当に天国にいる気分になる。
心と身体中が、慈愛で満たされる。
クリスもDJ Omktも、この曲を手掛けているとき、
きっと降りてきてしまったんだろうなぁ。




『KEEEEP KIDS DANCIN' EDITION3』

収録されているBlurのエレクトロリミックスも、最高。