The Killersの「Shadowplay」だと思いあたる。
いたくて、せつなくて、どうしようもなくなるような。
踊るしかない、ような。
この曲を聴いたのは、
写真家アートン・コービンの初監督映画
『CONTROL』でだった。
この映画は、77年頃イギリス
マンチェスターから登場した
ポストパンクバンドJoy Divisionの
ボーカル、イアン・カーティスの
バイオグラフィー的映画。
本編だけでなく、写真集がこれまたグッとくる。
The Killersは、Joy Divisionの名曲をカヴァーした。
この映画のために。PVも、美しい。
もし明日すぐ宇宙に行けたとしても、
ドラえもんが我が家にやって来たとしても、
イアンが23歳の若さで自ら逝ってしまった事実は変わらない。
飾り気のないクールな佇まいが、
ステージに上がるとロックに取り憑かれたパフォーマーとなる。
神経質っぽい目つきで、走り出したい衝動のような身振りで
今にも壊れてしまいそうで。
まるで、長い長い暗いトンネルを、
かすかに見える出口の光に向かって果てしなく走るような、
そんな音楽。
ピュアな人間だけが見せられる、心に潜む陰鬱さ。
巷では原曲の価値をも消してしまうカヴァー曲が溢れているなか、
The Killersは、Joy Divisionをよく理解しているのだと思う。
純粋さと感情の高ぶり、人の気持ちを掻き立てる音楽。
「Shadowplay」は、その全部がちゃんとある。
感情のひだを、強く揺らして去っていく。
『CONTROL』でイアンを演じたサム・ライリーは、
イアンが乗り移ったかのようだった。
といっても、イアンが逝って1ヶ月後に生まれたわたしが
動くイアンを知っているのは、もっぱらYou Tubeのお陰。
You Tubeさまさまな、現代生活。
上映後、からっぽな抜け殻になってしまって
渋谷のハンズ前の坂道で見事にコケた。
まだ、膝の傷は消えない。