里帰りし、その家族と一緒に過ごすのだから
想うもなにもないけれど。
我が家は、親戚が多く半数は近くに住むわりには
お正月に集まるという習慣がない。
会っても分からない従姉妹もいる。
なにせ両親の兄弟だけで10人いるのだ。
わたしにとって、‘家族’と‘親戚’は別。
冷めて言えば、家族以外には排他的なのかもしれない。
昔は面倒がなくて良いと思っていたが、
海外ドラマ「brothers&sisters」を観て
大家族の中で暮らしていたら…と考えてしまった。
カリフォルニアで食品会社を営む父親とその家族。
しかし、父が倒れてしまったことで、遺した問題が出現する。
愛していた父親による、裏切りともいえる数々の事実。
その現実に、母親と3男2女の子供たちが向かいながら
前に進んでいく物語だ。
5人の子供たちは、年齢的には大人だし
5男のジャスティン以外は仕事でも成功を収めつつある。
とはいえ、それぞれ問題や壁にぶちあたりすぎる。
中でも、ジャスティンはアフガニスタンへ出兵していた。
彼を巡っても、家族はグルグルと振り回って忙しい。
姉のキティ(「アリーmyラブ」のアリー)は、9.11をNYで体感した。
キティは、共和党支持の政治コメンテーター。
つまり、保守派で戦争を支持する側だ。
彼女は9.11の惨事を、生前の父親を含め家族みんなに話す。
後日、ジャスティンは家族に内緒で軍へ入隊してしまう。
それが自分にできる、誰かのためになることだと思って。
ここでも、家族の反応はそれぞれ異なる。
母親はジャスティンに戦争をけしかけたとして、キティを責める。
それから時が経ち、ドラマではキティもジャスティンもLAの家にいる。
ジャスティンは、戦争がトラウマとなりドラッグが欠かせない。
現実逃避するしか、拭えない記憶なのだ。
事実、戦争へ出向いた若者が自殺するケースは少なくない。
これは、人間的に強い弱いの問題ではないだろう。
自分の中にある‘人間らしさ’と
どれだけ向き合って、これから先生きていけるか。
それが、キーになるのではないだろうか。
ジャスティンに話を戻すと、彼は再びイラクへ招集される。
そのとき、キティは弟を戦地へ行かせたくないと心から想う。
結果とんでもない行動に出るが、それがとても人間臭くてイイ。
とはいえ9.11後の戦争を「あれは仕方がなかった」とキティは言う。
放送局のABCは確か民主党派のはずなのに…。まあ、アメリカらしい。
TV界のマイケル・ムーアは、まだ誕生できないのが現実かもしれない。
それにしても、日曜ファミリードラマで戦争がこんなに近いなんて。
21世紀のお茶の間なのに。
これに慣れてしまうことが、一番恐ろしい。
それはそうと、この家族は面白い。
ひとりひとりのキャラがしっかりしていて、人間味がある。
前の晩に起こった色恋沙汰を、真っ先に兄弟のだれかに相談して
その5分後には家族全員が知ってるなんて口軽すぎるし、
母親自らパーティーでプールに飛び込むなんて粋すぎる。
常に、なにかハプニングがある。でも、愛おしい。
家族の婚約パーティーのとき、長女サラがスピーチした。
「最高で最悪なもの」。それが、家族だと。
無条件に信じられる人、信じてもらえる人がいる。
それだけで、なんて心強いことだろう。
家族の一人である叔父が、パーティーの際に言った言葉。
「お互いを信じて、自分自身を信じる。それがあれば、
何があっても生きていける」
そうだ。家族とは、そういうものだ。
それにしても、ハマッてしまう面白さ。
こうやって段々とアメリカナイズというか、
ブッシュ家がビッグファミリーなように、
アメリカが理想とするアメリカンファミリー像に
洗脳されてしまうのか…と思いながらも、
シーズン1は過ぎていく。
求ム、シーズン2。