1.05.2009

なぜ、はたらくの?

ほんと、なんで、働くのでしょう?
先日友人に「もし5億円あったとしても働くか?」と
聞かれた。
考えもせず反射的に「もちろん。今の仕事をしているよ」と
答えていた自分に、自ら、へぇ〜と思った。

働くことについて、10人の仕事観を言葉にした
『働かないひと。』。
著者である左京泰明氏は、シブヤ大学学長で、
シブ大の授業コーディネートを担うASOBOTとも関係が深い。

左京さんが選出した10人の業種はいろいろ。
例えば、天文学者、ブックディレクター、ホストなど。
身内ネタでは、ASOBOTからも2名参加。
中でも、アートディレクターでJTの広告などを手掛ける
寄藤文平氏の言葉には、何度も頷かされた。
「人のための仕事を、自分のための仕事に変える」
“誰か”から発注を受けての仕事であっても、
“自分”のためにシフトするスイッチを探し、クリエイティブする。
そうすることで、その仕事への責任を、ある種、創る。
だから、結果良いものが創れるし、誇りを持てる。

10人の仕事への姿勢やモチベーションの持ち方、保ち方は、十人十色。
でも共通しているのは、仕事に対して、
誠実で責任を持って向き合っていること。
そして、自分の中にある枠を一線超えた人たち。
超えることで、自分のすべきコト、社会との関係が見えてくる。
この'社会’での、自分に課された役割分担。
その投げ掛けに向き合う機会を、この本は与えてくれる。

では、こんどは自分に、想いを馳せてみる。
10代の頃に定めたわたしの人生のテーマは
「いかに社会に染まらずに生きていくか」だった。
組織や集団生活からいつも身をかわしてきた。
そうであっても、胸を張って生きていけることを
証明していこうと決めていた。
それは、この社会の中で、
アイデンティティーをいずこに据えるか、ということ。

そうやって育った今、社会からは外れているかもしれない。いろいろと。
相変わらず、へそ曲がりには変わりがない。
寄り道はいろいろしたけれど、
それでも書くということに出逢えた。
おこがましいけれど、書くことは
例えば音楽しか生きる道がないようなミュージシャンと同じだと思う。
吐き出して、それが表現となり、結果社会の一部にリンクする。
だから、たとえ5億円あったとしても、書く仕事をしているだろう。

でもそのうちの1億円で、マウイ島あたりに、家を買おう。まずは。





←ウチのはなちゃんこと、
ASOBOTの伊勢華子嬢。
本編に登場している。
本の表紙が見えないのはご愛嬌。


『働かないひと。』左京泰明・編/弘文堂