その程度の差はあるけれど。
気持ちが落ちてしまったとき、どうしているだろう。
笑える映画や舞台を見る人もいるだろう。
友達と会って話をして騒いでさっぱりする人もいるかもしれない。
わたしは、THE BACK HORNを聴く。
落ちかけた気分を、もっと曝け出して落としてみる。
閉じこめていた感情を、えぐり出す。
そして、気付いたら光が見えている、という荒対処法だ。
個人的に日本で一番のフェイバリットバンドが、THE BACK HORN。
彼らより1つ2つ年下のわたしは、
これまで彼らの音楽とライブにどれだけ救われたことだろう。
気持ちの置き所がよく分からなくて意味もなくイラついて、
存在価値を全身で分かりたいのに掴めなくて、
もがくしかない日常。生と死は、紙一重。生きるしかない。
汚れた地を這ってでも、生きてやる。
社会不適合者だろうと、不器用なら不器用なりに、生きてやる。
彼らからは、その儚さと強さが漂っていた。
繊細でピュアな心の内は、
激しいロックを支える美しいメロディから十分に伝わってくる。
闇の先に光を見いだす言葉達は、痛くてもリアルに響く。
ライブでの、身体の奥底から叫びを絞り出す姿には
いつだって胸が締め付けられた。
吐き出す想いが真剣で重たいぶん、
受け取るこちらも正面から受け取らなければはじかれてしまう。
だから、表面だけを取り繕っていても
すぐに暴かれてしまうような。そんな、怖さと気持ち良さ。
とはいえ、メンバーもわたしも年月を重ね成長してきた。
今のTHE BACK HORNに、かつてわたしが求めた救いはない。
それは、10代後半から20代中盤だったからこそ感じられた、
この社会や世界への反抗と、アンニュイさを
自分で処理できるようになったからだろう。
それでも成長したとはいえ、
気分が落ちて最悪な日常を生きることにうんざりするときだってある。
でもその日常も含めて、否定せずに愛せればいい。
少し無愛想だけれど、そう思わせてくれるから
THE BACK HORNの音楽と存在はとても必要で大切。
インディー時代の荒削りの曲もストレートでいいけれど、
02年あたりからの「心臓オーケストラ」「イキルサイノウ」は
本当に名盤だと想う。
イントロを聴いただけで、この独特な世界へと連れ出される。
映画製作者から評価が高いのも、この世界観に引き込まれるからだろう。
映画『アカルイミライ』『ZOO』の主題歌は、切ない程ハマっていた。
紀里谷監督『CASSHERN』の挿入歌はイントロからやってくれた。
気付けば、メンバーは今年で30歳。
どんなロックを鳴らし続けてくれるのだろう。
彼らの感性に反応できる感受性を、失わずにいたい。
「コバルトブルー」のPVはとてもこのバンドらしい。
途中画面から消えちゃうし。彼らのライブを思い出す。