3.25.2009

LOVE THIS TOWM.


昨夜から、ポール・オースターの新刊を読み出している。
オースターの作品は、なぜか眠りにつく前、
ベッドに埋もれながら読みたくなるのだ。
オースターは、NY・Brooklynに暮らす作家。
彼の作品のほとんどに、Brooklynの空気が流れている。
だから、オースターの物語に浸るたびに、
大好きなBrooklynの光景が目の前に広がる。

わたしが初めてBrooklynを訪れたのは、5年程前。
それまでマンハッタンには何度か滞在したが、
Brooklynは治安の悪い住宅地という先入観が先に立ち足が向かなかった。
でも、すべてが観光地化またはブルジョア化しているマンハッタンに
少し距離を感じたとき、Brooklynへと意識が向いた。
そうして、わたしのBrooklyn通いがはじまった。

Brooklynといえど、広い。
アートな街DUMBOをはじめ、
イタリアやロシアからの移民コミュニティもある。
マンハッタンの時価高騰で住めなくなったアーティストや若者が
こぞってBrooklynにやって来た。
Williamsburgは、やって来た若者によって創られた街。
わたしは、この街が本当に大好きだ。














マンハッタンからLラインのサブウェイに乗ること、約15分。
Bedford Av.で降り、地下から地上に上がると、
ここはNYですか?というくらい、空気が違う。
空が広い。
高い建物はなく、レンガ造りの年月の経った建物がシンと並んでいる。
Avenueには、肩肘張らずがんばっていないのにオシャレなオーラで
包まれている若者たちが行き交う。
犬の散歩をしている女の子、建物の入り口階段に座っている男の子たち、
どこからかもらってきたのかテーブルを運んでいるカップル、
混み合う古着屋(ここは安くてたくさんあって楽しい!)の前で
タバコを吸いながら通りかかった友達と挨拶を交わす休憩中の店員…。
だれもが個性的で自分のペースを持っている感じ。
だからアジア人のわたしがひとりでいてもまったく浮かないし、
心地がいい。
異国の地にひとりでいても、ここに来ると、ふっと力が抜ける。
マンハッタンがマノロ・ブラニクのハイヒールなら、
ここはコンバースかバレエシューズかビーチサンダル。
HIP HOPやクラブミュージックがマンハッタン、
Vampire Weekendみたいなユルユルのロックがここ。














昨年の秋に訪れたとき、明らかに人が増えていて驚いた。
友達曰く、「ここ最近、急に人が増えたよ」とのこと。
お店の数も増え、治安が良くなった印象だ。
初めて訪れたとき、真っ昼間なのに少し身構えたのを思い出した。
AvenueからStreetへ曲がると、前にも後ろにもだれもいない、
左前方の角にはグラフィティだらけの荒廃した工場跡、
スニーカーがぶら下がった電線(ドラッグディーラーがいる印)が頭上に。
あーNYだなぁと感慨深く思ったものだ。
それでも、この街の空気がすっと馴染んだ。
身体が、「ここがいい。ここが好き」と言っている感じだった。

残念ながら、今の東京に同じ空気を感じられる場所はない。
わたしが学生だった頃の下北や中目黒が近い感じ。
今はどちらの街も人が入り交じり、開発が進み、面影は消えてしまった。
だからこそ余計に、Williamsburgを愛おしく思うのかもしれない。