それは、エンターテイナーとして一つのスタイルだ。
オーディエンスの求めることを、追求し表現し続けるということ。
しかし、人間はだれだって成長する。
アーティストだって成長する。それが、表現になる。
今年は、洋楽アタリ年かもしれない。
ビッグネームのアーティストのリリースが多い。
その中でも、メチャクチャ期待してしまうのが、
GREEN DAY。
今日、ニューアルバムが世界同時発売となった。
タイトルは、「21st CENTURY BREAKDOWN」。
この時代を生きる私たちのための、一枚だ。
私はパンクキッズではなかったが、
やはりGREEN DAYは重要なバンドのひとつとして聴いてきた。
商業主義とか階級とか学歴とか、というよりこの社会への反骨が
根にあるのがパンク。
だから、当時はパンクリスナーからは批判もされた。
それは、彼らが“ポップ”だから。
とはいえ、彼らのメインストリーム並みに美しくてポップなメロディに
世界中のパンクキッズが虜になった。
今だって、10年以上前の彼らのアルバムを引っ張り出しても
そのメロディアスさに胸がキュンとなる。
パンクな精神を持つ者にとって、彼らの存在は無視できなくなった。
だって、GREEN DAYはパンクが根っこなのに、
思いっきり世界に受け入れられているのだから。
本心は、自分は自分であるまま、社会に受け入れられたいのだ、誰だって。
はみ出し者が、メインストリームをありのままに突っ走れるってことを、
彼らは証明してみせた。
4年前、GREEN DAYはすごいアルバムを出した。
『AMERICAN IDIOT』。
これは、製作中にアメリカがイラク戦争を始めたことへの怒りを元に作られた。
ブッシュ政権への批判を公言していた彼らだが、このアルバムには多くの人が
驚いたことだろう。
だって、あのGREEN DAYが、反戦を掲げて歌っているのだ。
いつの間にか、世界的パンクバンドは、社会派パンクバンドになった。
あの『AMERICAN IDIOT』は、最高傑作と評された。
でも、新作『21st CENTURY BREAKDOWN』は、
前作を超えるアルバムだと、わたしは思う。
全18曲。サウンドは、“THE GREEN DAY”という感じ。
キャッチーだし、一度聴けば合唱できてしまうポップさがある。
リフやリズムだって、特別なことはしていない。
(ただ、この3人は基礎がかなりしっかりしている)
それでも、こんなロックを待っていた!と拳をあげずにいられない。
今作は社会派の顔というより、今の時代を生きるとはどういうことかを
描いている。
混沌としていて、荒廃していて、不安だらけで、
それでも恋人と共に期待や希望もかすかに抱いている。
ラストの曲「SEE THE LIGHT」の、闇から光が射してくるようなサウンド、
そして「俺は光が見たいだけ」という言葉が、
すべてを物語っているように思う。
そう、光を見たい。
昔はアメリカの町にいそうな若者という風貌だったが、
最近、特にビリー・ジョー(Vo&G)の顔つきが、
すごくカッコ良くなった。
とってもイイ歳の重ね方をしているな、と思う。
最高傑作を乗り越えて、また最高傑作を生み出す
彼らのアーティスト魂に、今はただただ感服したい。
GREEN DAY
「21st CENTURY BREAKDOWN」
(邦題:21世紀のブレイクダウン)